« 2010年10月 | トップページ | 2010年12月 »

2010年11月

錦秋の庭 京都 土門拳

1011241
京都と言えば修学旅行。確かに京都に行ったことは覚えているけど、何を見たのかはよく覚えていません。そんな京都に足を運ぶことになりました。


1011242
出かけたのは臨済宗の大本山・東福寺です。まったく見た記憶がないので、ここは修学旅行のコースには入っていなかったのかもしれません。


1011245
それにしても、人、人、人。こちらのお寺は紅葉がきれいなので人気のようです。通天橋から愛でる紅葉は一見の価値ありとの評判で、朝から大勢の拝観客でごったがえしていました。


1011243
開山堂までの回廊から見る紅葉の美しさは格別でした。回廊が暗く影になっていて、両側からまばゆい赤い光が差し込むような印象です。なんだか不思議な空間を歩いている感じがしました。


1011244
とにかく庭園にはたくさんのモミジが植えられています。これらが一斉に色づいたら確かに見応えのあるものになるはずです。気になるのはこれらのモミジの樹齢。遠い昔からこのお寺にはモミジが植えられていたのでしょうか? そんな無粋なことを考える自分にちょっと嫌気がさしましたが、素朴な疑問がわいてきました。まぁ、風雅を愛する京の人たちのことですから、秋の美を演出するためにモミジを植えるくらいのことは当然やっていたと思います。


10112461011247
10112491011248
1011241010112412
10112413
紅葉も素晴らしいですが、建築物もそれ以上に素晴らしいものでした。縣魚が三つもついていたり、ものすごい鬼瓦がついていたり、驚くような太い柱で支えられていたり…。紅葉を見るよりも建物を見る方に時間をかけてしまいました。木鼻の装飾がとてもシンプルなので、かなり古い時代の建物なのだろうなぁ…なんて想像したりするのがとても楽しいです。


10112414
こちらは長岡京市にある西山浄土宗総本山の光明寺です。こちらもかなりの人出で、観光バスが次から次へと客を降ろして走り去って行きます。


10112415
1011241610112417
こちらも見た記憶がないので修学旅行のコースには入っていなかったのでしょう。このお寺は法然上人ゆかりのお寺ですが、多くの人々はそんなお寺の由緒や歴史には興味がないようで、紅葉ばかりに目が行っていました。でも、人のことは言えません、私もそうですから。


10112418
こちらは平等院。ここは修学旅行のコースに入っていたような気がするのですが、まったく覚えていません。あれ〜? コースに入っていなかったのかも。となると、自分は修学旅行のときに何を見たのでしょうか? 

さて、平等院と言えば鳳凰堂。本来は阿弥陀堂と言うのだそうですが、一般には鳳凰堂という名称の方が耳慣れていますね。私にとっての鳳凰堂のイメージは土門拳という写真家の撮った鳳凰堂です。今回、京都を訪れるにあたって、一番楽しみにしていたのがこの鳳凰堂を見ることであり、写真を撮ることでした。


10112419
『ヒロシマ』『筑豊の子どもたち』などの写真集で知られる土門拳。晩年、ライフワークとして撮り続けたのが寺院や仏像です。その作品は『古寺巡礼』としてシリーズで出版されました。そのなかに鳳凰堂の写真も掲載されているわけですが、それがまた素晴らしい写真なのです。もちろん、そのほかにも仏像の写真が多数あります。その仏像の写真もまるで生きているかのような表情をとらえていて、見るたびにため息が出てしまうほどです。土門拳の写真には言い表せぬ不思議な力があるように感じます。彼の写真を見ると、写真は「写すのではなく、描くもの」なのだなぁと思います。土門拳の写真には遠く及ばないまでも、そんな思いを胸に秘めてシャッターを切っているのですが…写ったものにはいつも「?」マークがついてしまいます。


10112420
それにしても、どこでも誰もが写真を撮る時代になりました。一眼レフを抱えたマニアックなおやじは別として、普通のおばちゃんたちがこぞって被写体に向かってデジカメを構えています。メカに弱いと思われていたおばちゃんたちでさえ、今では楽しそうに写真を撮っているのです。意外にも普通のおやじは写真を撮っていません。どちらかというと、おばちゃんたちの方がデジカメ使用率は高いのではないでしょうか? 

そうなんです、写真がこれほどの市民権を得るとはプロカメラマンも想像していなかったでしょう。芸術か商業写真かスナップかという分類は別にして、広い意味で写真というものがどんな方向に進んで行くのかとても興味があります。


(撮影:2010.11.23/京都府京都市、長岡京市、宇治市)

| | コメント (1) | トラックバック (0)

紅龍を見失う 気まぐれな秋

1011211
みなさん呑気に写真なんか撮っていますけど、けっこうすごい場所なんですよね〜、ここ。


1011212
崩れ落ちたらどうしようか? なんて不安をよそに崖下を覗く人の多いこと。改めて思い出してみると、観光地には「どう見ても危険な場所」って意外とあるのではないでしょうか。

今回は危険な場所を告発するために書いたのではありません。自然がつくり出した景観には、スリルのある場所が多いということを感じただけです。


1011213
こちらは日光鬼怒川にある龍王峡です。その名の通り、まるで龍が迫り寄ってくるような臨場感があります。じつは紅葉の時季に出かけたのですが、ちょっと早過ぎたようで、この写真を撮った辺りはまだまだ色づいていませんでした。本来なら紅(くれない)のなかに龍を見るはずでしたが、残念です。

どうも今年の秋は紅葉の時期が例年より一週間から10日くらいずれてしまったようです。しかも、急激な冷え込みで紅葉途中で落葉してしまったり、猛暑の影響で鮮やかな色が出ずに枯れ葉になってしまったりと散々な地域もありました。


1011214
訪れたのは11月の上旬でしたが、場所によってはかなり色づいていました。でも、肝心の龍王峡はまだまだという感じ。地元の人の話だと、毎年11月3日の文化の日は色鮮やかな紅葉の最盛期で一番の見頃とのこと。今年は例外中の例外だったようです。ひょっとすると、今年以降もこのような予想外の展開が多くなるのかもしれませんね。

時期を逸した報告です。見てきてからすぐに書けばよかったのですが、すっかり忘れてしまい今ごろになってしまいました。ほかにも季節外れのネタが眠っているのですが、いかがいたしましょう? 気が向いたらズッコケ報告をします。

そう言やあ「ズッコケ」なんて言葉、久々に聞きましたね。いや、書きましたね。これって“死語”でしょうか? ここ数年の会話で友人知人からこの言葉を聞いたことがないような気がします。人々の記憶からこの言葉が消えないように、これからもたまに使っていこうと思います。

以上、余談でした。


(撮影:2010.11.3/栃木県日光市)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

日光にいる緑の鹿 霊獣・犀

1011201
再び日光の輪王寺・大猷院(たいゆういん)に行ってまいりました。二度目なので写真は撮らずにゆっくり見ようと思っていたのですが…

不思議な生きものを見つけてしまい、やっぱり撮らずにいられなくなってしまいました。それはいったい何なのかと言うと…

おーっ、緑の鹿です。

かわいいなぁ、なんて思っていたら…


1011202
いやぁ〜、けっこう厳しい顔をしています。というか、真剣な眼差しを感じてしまいました。

よくよく眺めていたら、鹿じゃないように思えてきました。確かに鹿の子模様のようなものがありますし、蹄は偶蹄目のものです。でも何となく違和感があります。

頭には一本の角があります。まさか! ユニコーン? 

うんにゃ、そんなはずないし…

寺院建築にはよく動物が彫られています。十二支の動物かと思いましたけど、十二の中に鹿は入っていません。

ならば、龍や鳳凰、獏(貘)、麒麟など、いわゆる霊獣と呼ばれるものの一種かもしれないという考えに至りました。


1011203
どうやらこの彫刻は霊獣の犀(さい)のようです。犀の特徴はというと…

・体型は鹿
・背中に亀の甲羅を背負う
・一角を持つ
・体には風車紋がある
・脚は細く偶蹄
・腹には蛇腹がある

昔は少し違う姿だったらしいのですが、いつの間にか上記のような特徴を持つ霊獣に変化していったそうです。

さて、日光の緑の鹿は腹に蛇腹はないものの、その他の特徴は一致します。こりゃぁ間違いなく霊獣・犀でしょう。いや〜、知りませんでしたね、犀という霊獣。今回の訪問で目から鱗が落ちました。それにしても大猷院は奥深いです。じっくり彫刻を眺めていたら、一日なんてあっという間に暮れてしまうでしょう。

今回紹介した彫刻はほんの一例です。院内の建築に施されている彫刻の見事さと言ったら言葉では表せません。その芸術性の高さに彫り師の意気込みというか魂を感じてしまいますね。

だけど、どうなんでしょう? 当時の彫り師たちは当たり前にこんなものを彫っていたのでしょうか? もちろん、一所懸命に彫ったでしょうが、これといった見本を参考にせずに自らの思い描くままに彫ったことでしょう(設計図なんてないでしょうから)。

すごいです、本当にすごいです。江戸時代の彫り師(もしかして、大工が彫ったのかも?)や大工は驚くほどの技術を持っていたのだと思います。

う〜ん、もう一度行ってみたくなりました。大猷院に。

ちなみに、犀は日本で生まれた霊獣だそうです。火を防ぐ水の霊獣だそうで、神聖な空間への案内役も担っているとか。つくづく不思議な姿をした霊獣だと思います。

(撮影:2010.11.18/栃木県日光市)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

徳川三代、360年の眠り

1011141
日光と言えば東照宮。でも、今回見に行ったのは輪王寺というお寺です。


1011142
ここは徳川三代将軍・家光の廟所。輪王寺にはたくさん見る場所があるそうなのですが、そのうちの大猷院(たいゆういん)を見てきました。


1011143
今年は家光公の没後360年にあたり、今まで公開されていなかった御尊像を大猷院で御開帳することになったそうです(残念ながら写真撮影は禁止)。


1011144
大猷院の拝殿にあたる場所は天井や襖絵がすごく凝っていました。書院造りや寺社建築などに採り入れられている格天井(ごうてんじょう)には、その格子の枠内に龍が描かれています。いったい何匹いるのかと思うほどの数で、鋭い眼光でこちらを睨みつけてきました。襖絵は狩野派の手によるもので、唐獅子が描かれています。左右3対ずつで計6体。まるで生きているかのような迫力がありました。


1011145
拝殿に至るまでにはいくつもの門があります。どれも精緻さと重厚さをそなえた意匠巧みな素晴らしい門です。


1011146
最初の門が仁王門、次いで二天門、夜叉門となります。夜叉門には破魔矢を手にした青い夜叉(烏摩勒伽・うまろきゃ)がいます。お正月に寺院などで破魔矢を買いますが、その破魔矢の発祥はこの青い夜叉が手にしたものによるとか…

そして、破魔矢の長さには決まりがあるそうです。寺院の案内の方が話しているのを耳にしたところ、長さは約32センチだとか。ぜんぜん知りませんでした。


1011147
大猷院を造るにあたっては、徳川初代将軍家康の廟所・日光東照宮を超えてはならないという家光の遺言があったといいます。


1011148
東照宮に比べるときらびやかさの点では及びませんが、重厚さの点では肩を並べているのではないでしょうか。境内にはどことなく厳かな空気が満ちているような気がしました。


1011149
初めて見学させていただきましたが、「いいものを見せてもらった」という満足感があります。昔の人の言葉で表すなら「有り難いものを見た」という思いです。


10111410
さて、大猷院のあとは「わたらせ渓谷鉄道」に乗車。間藤駅から神戸駅まで乗って草木湖に行きました。


10111411
草木湖のほとりにある富弘美術館を見て帰ってきました。


(撮影:2010.11.10/栃木県日光市、群馬県みどり市)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

謎の生物、地底蟹の逆襲?

10110611011062
10110631011064
前回報告しました謎の生物。その成長過程を写真で並べてみます。

白い小さな卵が割れると透明のゼラチン状物質が溢れ出てきます。その物質に護られるように包まれているのがホタテのようなもの。この部分だけ見るとおいしそうに見えます。

しか〜し、よく観察してみると蟹味噌のような色の物質が魚の鰓、あるいは肺の組織のようにも見えるから不思議です。

そんでもって…卵から孵ったのはこんな生きもの。


1011065
きのこです。名前はカニノツメ。腹菌類に分類され、アカカゴタケ科という聞き慣れない仲間に属しています。

地底に棲む蟹(そんなものいません)が爪だけ出して、そばを通る小動物に襲いかかろうと待ち構えているようにも見えます(とんでもない空想!)。

このカニノツメには蟹味噌が付いています。これがまたへんな臭いを醸し出すのです。遠回しに言うとハエさんが喜びそうな香り。わかりやすく言えばうんちの臭いです。密生していると辺りに怪しげな臭いが立ち籠めます。想像力の豊かな人なら「え〜っ、誰か野グソしたなー。踏んづけないように注意しなきゃ!」なんてことを思うかもしれません。

そうなのです。カニノツメは野グソの臭い…

さぁ、みなさん、覚えましたか? もう一度言ってみましょう!

カニノツメは? ○○○の臭い。ハイ!

このへんで止めときます。


●カニノツメ/Linderia bicolumnata
アカカゴタケ科カニノツメ属

(撮影:2010.10.31/つくば市)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年10月 | トップページ | 2010年12月 »