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冬こそ奥日光? 雪上の小冒険と大発見

昨日は関東地方さえも大雪に見舞われるだろうと報道されていました。そんな日に奥日光まで出かけてきた私。帰ってみると、我が茨城県南部の降雪は予報ほどではありませんでした。出かける前の私にとっては関東の大雪はもちろん、目的地の奥日光の降雪が心配でした。

で、奥日光はどうだったかというと…


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ちらちら、たまにしんしんと雪が舞い降りるという感じ。聞いた話によると、奥日光の天気は日本海側の新潟(栃木寄りの地域)と同じになることが多いそうです。わかりやすく言うと、奥日光は日本海側の気候ということらしいです。おもしろいのは、わずか5〜6キロしか離れていない中禅寺湖周辺の日光市街は太平洋側の気候とのこと。「この両地域は驚くほど積雪量が違う」と、ある本に書いてありました。

そして、こんな景色を見ながら、何をしたかというと…


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橇(かんじき)のようなものを履いて雪の上を歩くスノーシューハイキングをしてきたのです。ちなみに、今回踏破したのは湯滝をスタートして泉門池(いずみやどいけ)で折り返してもどってくるコースです。

「なにもこんな寒い時季に、わざわざ雪の上を歩かなくたって…」と言われそうですが、寒くないと雪はないし、冬だからこそ見られる風景があるわけです。通常の季節ですと奥日光は歩けるコースが定められていますが、雪の積もるこの時季ならスノーシューで好きなところを歩けるのも大きな楽しみでしょう。

行け、行け、GO! GO!  誰も歩いていない場所にどんどん足跡を付けちゃおう。

キュッキュッ、ザクッザクッ、雪を踏みしめる音のなんと心地よいことか!


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あらゆる音が足元の雪に吸収されているのかと思うほど森の中はとても静かです。いろいろな動物の足跡を見つけるたびに、寒い冬の森で暮らしている動物たちの息づかいを感じます。すべてが眠ってしまっているような時間に元気に走り回っている小動物。その姿を想像すると微笑ましくもありますが、厳しい環境のなかで必死に生きている逞しさに感動してしまいます。

さて、これは何でしょう?


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ワカメの束でも干してるの? って感じですが、こちらはアズマシャクナゲの冬の姿。落葉させずに図太く緑の葉を吊るして耐えている様子に、何らかの戦略を感じずにはいられません。


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葉の表面から裏側に反り返るようにしてくるりと丸まってストロー状になっています。気温は間違いなく氷点下になるはずです。葉の中の水分は凍らないのでしょうか? 凍っても細胞は壊れないのでしょうか? 

次から次へといろんな疑問が湧いてきます。植物も逞しいな! 答にもなっていない結論で自分を納得させながら歩き続ける自分。

歩きながらふと思ったのが、足元に深く積もる雪のこと。考えてみれば、形は違えどこれはぜ〜んぶ水。液体の水に換算したら、いったいどれほどの水量になるのでしょう? このことを考えたら妙な感動が胸に込み上げてきました。


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話は変わりますが、銀世界がどこまでも続くと色がついているものに自然と目が留まります。それが樹木の幹にくっついているコケ(地衣類)です。自分は普段から気にしているせいか特に目に入ってくるのかもしれません。この極寒の世界で静かに生きている地衣類を見ると、生きものって不思議だなぁと思わずにいられません。

ちなみに、写真の地衣類はウメノキゴケ科のセンシゴケの仲間だと思います(というか、センシゴケそのものかも)。個人的にこの地衣類は好きです。地衣類と言うと樹木にピタッと張り付いて二次元的な様相を呈しているものがほとんど。そんな平面的な姿のなかにデザイン的な意匠を感じさせてくれるのがこのセンシゴケです。コケ模様と言ったら変ですが、こんなデザインの洋服があってもいいのではないでしょうか? アレンジ次第ではサイケデリック調になるし、日本の家紋的にもなります。さらにグロテスク調の図案で迫ってもおもしろいかもしれません。「え〜っ、気味悪いよ〜」とおっしゃる方が多いかもしれませんけど、色をオレンジや黄色、はたまたピンクにしたらかなり雰囲気は違ってくると思います。どなたか新鋭のデザイナーさん、コケティッシュデザインとか命名して不思議模様の洋服を作ってくれませんかね。


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はい、こちらは折り返し地点の泉門池です。天気がよければ山が真っ正面に見えるのですが…残念です。池ではマガモの夫婦が仲よく泳いでいました。

今回のスノーシューハイキングにはガイドさんが同行してくれました。案内してくれたのが(有)自然計画の宮地信良さんです。ためになる話や楽しい話を聞かせてくれたほか、意外な自然の姿を教えてくれました。


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「目から鱗」だったのが木の根元の雪の窪み。定説では樹木が発する熱(生きているので代謝の際に熱が発生する…みたいな理由)で雪が融けて窪みになると言われています。この件について、宮地さんは別の説を提示しました。それは、風が樹木を通り過ぎる際に根元で対流を起こし、新雪を巻き上げて運んでしまうからかもしれないというもの。もちろん、宮地さんは定説を否定しているわけではなく、定説以外に考えられる大きな一次的要因としてご自身の説を聞かせてくれました。

個人的には宮地さんの説の方がすんなり受け入れることができます。少なからず定説の樹木の熱効果はあるのかもしれません。しかし、この根元の窪み現象に関しては熱力学的なものより物理学的な力の方が遥かに強大な気がします。

以上のお話はほんの一例で、ほかにもいろいろおもしろい話を聞かせていただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。


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ちなみに、宮地さんは山と渓谷社から出版されている『奥日光 自然観察ガイド』(900円)の著者でもあります。この本には「奥日光の自然がどのように形成されたか」という根源的なお話から植生や地理的特徴、現地で見られる動植物のそれぞれの紹介、おすすめハイキングコースや見どころなどが掲載されています。初めて手にする人でもわかりやすく書かれているので、奥日光の自然をもう少し詳しく知りたいという人には最適な案内書になるでしょう。単なるハイキングにネイチャーウォッチングという付加価値を与えてくれる一冊だと思います。


(撮影:2011.2.11/日光市)

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