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猫にあげたい「ファイト一発」

110328
薬のコマーシャルで、訳の分からない成分を強烈にアピールするものをよく見かけます。


どんな物質なのか、どんな作用をするのか、名前を聞いただけでピンと来る人は少ないはずです。でもなぜか「体にいいものなんだろうなぁ〜」とか「効果のある成分なんだろうなぁ〜」なんて思い込んでしまいます。(恐るべし、コマーシャルの魔術)


たとえば、こんな名称を耳にした事があります。


「タウリン1000ミリグラム配合」
すげ〜、4桁の数字だ。ものすごい量が含まれている。ん? これって1グラムのことか。でも、あの小さな瓶に1グラムってすごいかもしれない。でも、今までは何ミリグラム入っていたんだ? ま、いいか。増量されてお得ってことなんだろう…


「塩化リゾチーム配合」
う〜ん、いったいどんな成分なんだ?


「イブプロフェンがやさしく効く」
薬の場合、やさしいってどういう事だろ? 効き目がゆっくりなのか、副作用が少ないのか、それとも夢心地にさせてくれるのだろうか?


ほかにも、湿布などの成分としてフェルビナクとかインドメタシン、風邪薬などの塩酸ブロムヘキシン、アセトアミノフェン、非ピリン系、ほかにも胃薬のH2ブロッカーなどいろいろな名称を聞いたことがあります。



どうなんでしょ、薬を購入するみなさんはそれぞれの成分の効用や副作用などを調べてから選んでいるんでしょうか。


自分はあまり薬を飲まないので真剣に考えた事はありません。ただし、塗り薬や湿布にはお世話になっているので多少気に掛かります(腰痛持ちなので)。


昨年も湿布薬にお世話になりました。購入する際に比較検討したら、フェルビナクという成分が各製薬メーカーの湿布に含まれていました。ところが、製品によって含有率が違うんです。よ〜く見たら含有率が高いものは値段も高いのです。べつにケチったわけではないのですが、自分は真ん中あたりの含有率のものを購入しました。じつは、薬に関して持論があるんです。


まず、過ぎたるは及ばざるが如し。薬効成分は多けりゃいいってもんじゃないと思っています。そして、副作用のない薬はあり得ないということ。


以上簡単ですが、そんなことを基準に選んでいます。飲み薬を買う時には、ひょっとすると成分まで調べるかもしれません。調べても理解できないでしょうが…



さて、いつものように前置きが長くなってしまいました。今回は「気になるあの成分」として、タウリンを調べてみました。ちょうど家族の誰かが飲んだ瓶が転がっていたので…


いったい、タウリンとはどんな物質なのか? ウィキペディアで調べてみました。


*タウリンは生体内で重要な働きを示す分子。
*含硫アミノ酸から合成される。
*アミノ酸と誤記されるが、カルボキシル基を持たないのでアミノ酸ではない。
*別名アミノエタンスルホン酸

その具体的な作用とは

*胆汁酸の分泌を促進し、肝臓の働きを促す
*肝細胞の再生促進
*細胞膜の安定化

以上、ウィキペディアより。


構造式はNH2CH2CH2SO2OHで、確かにCOOHというカルボキシル基(カルボキシ基ともいう)は見当たりません。ネット上の情報ではアミノ酸のひとつと表記しているものが見受けられます。健康増進のヒントやサプリメントの販売に関するサイトの説明文に多いような気がしました。

(構造式の数字は本来小さいもので表記すべきですが、自分のパソコンでは小さくできないので大きな数字で表記しています)


タウリンという言葉はギリシャ語で雄牛を意味するものだそうで、1827年に雄牛の胆汁から発見された事に由来しているのかもしれません。


体内では胆汁の主成分である胆汁酸と結合して、タウロコール酸として存在しているようです。消化作用を助けるほか、神経伝達物質としても機能しているとのことでした。ほ乳類では肝臓や肺、筋肉に多く分布しているようです。


タコやイカなどの軟体動物はタウリンを多く持っているそうです。ちなみに、スルメイカの表面に出る白い粉にはタウリンが凝縮されているとか。栄養ドリンクもいいですが、スルメイカもいいみたいですね。


さて、タウリンと言えば栄養ドリンクです。あの強烈なキャッチフレーズを耳にすれば、一本飲み干すごとにみるみる力が湧いてきそうな気がしませんか?


日本では合成品は医薬品扱いで、主に医薬部外品のドリンク剤の主成分になっています。有名どころと言えば、何と言ってもファイト一発の「リポビタンD」(大正製薬)。ほかにも第一三共ヘルスケアの「Regain」、大鵬薬品工業の「チオビタドリンク」などがあります。今回写真で登場したのはエスエス製薬の「エスカップ」です。(うさぎちゃんのマークがかわいいですね〜)


ちなみに、天然抽出物(イカやタコから抽出したのかしら?)は食品添加物として認められているそうで、強化物として育児用粉ミルクにも添加されているとウィキペディアにありました。お〜、知りませんでした。赤ちゃんもファイト一発の力がありそうですな。ほかにも、目の新陳代謝を促進する働きがあるので目薬の成分として使用されることもあるそうです。まさに、目から鱗的な情報です。


さ〜、レポートも終盤です。ウィキベディアには「タウリンの代謝」という項目に下のような記述がありました。全文コピーして転載します。


………………………………………………………………
合成経路においてはまず、タンパク質の構成成分にもなる含硫アミノ酸であるシステインからシステイン・ジオキゲナーゼによりシステイン酸が合成される。タウリンはシステインスルフィン酸デカルボキシラーゼ(スルフィノアラニン・デカルボキシラーゼ)によりこのシステイン酸から合成される。ヒトはこの合成経路の両酵素をもつため、タンパク質を摂取していれば、タウリンの形での積極的摂取は不要である。胆汁酸と縮合したタウロコール酸はコリル・コエンザイムAとタウリンから合成される。タウリンは尿中に一日約200mgが排泄される。
………………………………………………………………


人は合成に必要な酵素を持っているので、タンパク質さえ摂取していれば体内で作り出せるようですね。しかも、タウリンの形での積極的な摂取は不要とあります。う〜ん、ここ重要ですね。この一文は、解釈の仕方によっては製薬会社への宣戦布告とも受け取られそうです。さらにだめ押し的な文章が文末で光っています。「タウリンは尿中に一日約200ミリグラムが排泄される」。これって過剰なものが捨てられるってことでしょうか? 余っているのに1000ミリグラムを摂取したらどうなるのでしょう。合計1200ミリグラム排泄されるということ?
(栄養ドリンクを飲んだ後におしっこの色が変わるのと関係あるのかしら)


肉体的な機能には個人差があるので、この数字がそのまま当てはまるとは思いませんけど、いかがなものでしょう。気分だけでもファイトが出るようなら飲んだ効果もあるというものです。全面的な否定はできないと思います。私も時々、心の中で「ファイト一発」と呟きながら飲んだりしています。不思議なもので、「効くんだ」「効くはずだ」と念じながら口にすると元気が湧いてくるような気がします。それだけでも十分有効かと思います。これってプラセボ効果(プレシーボ効果)っていうやつでしょうか…


きっと私はこれからも栄養ドリンクをときどき飲むことでしょう。でも、今回の一件で「必要ない」という情報が頭に入ってしまった以上、今までのようなプラセボ効果は期待できないかも。世の中には「知らない方が良かった」という情報もあるのかもしれませんね〜


そうそう、ウィキペディアだけの情報ではいけないと思い、ほかのサイトの情報にも目を通してみました。検索に引っかかったのは、ほとんどが健康増進アドバイスやサプリメント販売のサイトでした。そのどれもが、健康維持や増進のためにはタウリン摂取がとても有効だと説いていました。なかには継続的な摂取が望ましいと迫るものもありました。確かに、健康状態によっては摂った方がいいという人もいるのかもしれません。でも、「体内でこんな働きをしている」とだけ説明して「さぁ、飲んだ方がいいですよ」と迫るのも…


ちなみに、どのサイトも「一日約20ミリグラムが尿と一緒に排泄されている」とは書いていませんでした。



そう言えば、今回のタイトルにある猫の話がまだでした。


ウィキペディアによれば…猫はタウリンを合成する酵素を持っていないので、彼らにとっては重要な栄養素なんだそうです。なので、キャットフードにはタウリンの含有量を明記したものが多いとか。猫はタウリンが欠乏すると拡張型心筋症が生じることがあるようです。たまにはイカやタコを齧らせるのもいいのかもしれませんね。あるいは栄養ドリンクを飲ませてファイトを奮い起こさせても…

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