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さまよう神経伝達物質と悩むシナプス

前回からのつづきで、抗コリン作用について。
その前に脳神経の細胞同士をつないでいるシナプスのお話を…


高校の生物の教科書の解説図に、樹状に広がった円盤から紐のような軸が伸びている奇妙な生きものが描かれていたのを見た記憶はないでしょうか。


それが脳細胞で、いくつもの脳細胞同士をつないでいるのがシナプスだと教えられたような気がします。そこにはトイレ掃除の吸盤みたいなシナプスと、それに向き合う受け皿状のシナプスの拡大図が示されていました。


この両者の間では神経伝達物質のやり取りがあると教科書に書いてあったような気がします。伝達物質にはセロトニン、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン(ドパミン)、βエンドルフィン、アセチルコリンといったカッコいい名前がつけられていました。ちなみに、解説図では両者の間に大胆な隙間が空いていましたけど、実際はほとんど密着しているような状態だそうです。


シナプスには前細胞と後細胞があるそうです。トイレの吸盤みたいなのが前細胞で、受け皿みたいな方が後細胞にあたります。神経伝達物質は前細胞から放出され、受容体(レセプター)のある後細胞に向かいます。刺激の種類に応じて放出される伝達物質が決まっていて、受容体もそれぞれの物質に対応したものが各種配置されているようです。セロトニンにはセロトニン受容体、アドレナリンにはアドレナリン受容体といった具合です。


放出後、シナプスの間隙に残ってしまった伝達物質は前細胞が再取り込みをするか、特定の酵素によって不活性化(あるいは分解)されるとのこと。刺激が永続的にならないように工夫されているようです。再取り込みをしてまた使うなんて、とてもエコな仕組みです。ひょっとして、作り出すのに相当なエネルギーを消費する物質なのでしょうか?

さあ、話を前回のお薬・パモ酸ヒドロキシジンに戻しましょう。


子どもの蕁麻疹の薬として処方されたこのパモ酸ヒドロキシジン。抗ヒスタミンという薬効だけでなく、抗うつ薬としての効果もあると前回報告しました。


さて、抗うつ薬の実体はどんなものかというと…神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンなどの再取り込みを阻害することによって、うつ症状を軽減するというもの。この二つの神経伝達物質は、うつ症状に深く関わっているといわれています。


極端な表現をすると、冷静(抑制的)な覚醒に作用するのがセロトニン、高揚的な覚醒に作用するのがノルアドレナリンです。この二種の均衡がとれた状態が理想です。つまり、通常の脳は両者の量が一定に保たれた状態を作り出しているわけです。この均衡が保てない、あるいは欠乏してしまうとうつ状態に陥りやすくなるようです。


ヒドロキシジンは、セロトニンの再取り込みを阻害する薬だそうです。取り込み口であるセロトニントランスポーターを塞いで、セロトニン濃度を高いまま維持させます。そんな薬効を持つ薬をSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)と呼ぶそうです。日本語で言うと選択的セロトニン再取り込み阻害薬。なんとなくカッコいいですね〜


ところがいいことづくめではありません。アセチルコリンが受容体(正確にいうと、ムスカリン受容体とニコチン受容体に大別されるらしい)に結合するのを阻害してしまうそうです。アセチルコリンによって制御されている組織にはよからぬ影響が出てしまうそうです。結果として現れるのが、薬の説明文にあった以下の症状になるわけです。


眠気、倦怠感、口が渇く、気持ちが悪い、食欲がない、胃の不快感、頭痛、めまい、便秘など。このほか、緑内障患者は眼圧が上昇したり、前立腺肥大症の人は尿が出にくくなったりするとのことです。

話が長くなってしまいました。つまり、「抗コリン作用」とは抗うつ剤の副作用のひとつ、アセチルコリン受容体への結合阻害という事です。



前回からの続きで長々と薬の話を書きましたが、まったくの素人ですから間違った記述があるかもしれません。ですので、書いてある事はご自身で一度検証していただくことをおすすめします。


話は変わります。


今回に限らず、学術的なことにちょっと足を踏み入れた記述をすると、いつも感じてしまう事があります。専門的な知識は何も持っていないのに、あたかも知っているかのように書いてしまうこと。これには気が引けます。なので、「○○だそうだ」とか「○○らしい」などという曖昧な文末が多発することになります。


よ〜く考えてみると、自分が発見した事なんてほとんどありません。すべて専門科の先生たちが人生をかけて解明した答だけをかき集めただけ。自分が発見した事なんて、クワガタやカブトムシがどんなとこにいるかってことぐらい。ほかにもいくつかありますが、同程度のレベルです。


つくづく情報って価値のあるものだと感じます。たちどころに情報が手に入るインターネットは特に便利だなぁと思います。

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