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アレルギーと鬱の関係/薬から探る脳の生理

薬は病気を治してくれない
治すのは自分自身の力
薬は手伝いをしてくれるだけなのだ
なければ、体が自分でなんとかする
かもしれない…


妄想めいた事を思う自分。
どちらかというと医者嫌い、薬嫌いです。
たまに栄養ドリンクをジュース代わりに飲んだりはしますけど、飲み薬はもう何年も飲んでいません。

こんな偏った考えを持つ自分とまったく対局の位置に立つのが妻です。子どもに何か異変があるとすぐに医者に連れて行き、もらってきた薬を飲ませます(それで安心している)。私は歓迎しないのですが、意見すると喧嘩になるので黙っています。

薬に頼ってばかりいると肉体が持っている本来の機能を弱めるような気がしてなりません。もちろん、「こりゃイカン!」「様子が変だ!」「我慢の限界を超えている」と思ったときには医者に連れて行きます。でも、発熱してだるそうにしているくらいなら十分に睡眠を取らせて、翌朝の回復具合で判断したいと思います。こんな考えを持つ私を妻は「変人!」と言い、白い目で見ます(あの目で凝視されると、自分が人間じゃないような気になってくるのがとても悲しいです)。

極端な事を言わせてもらいます。今のお年寄りは薬漬けになっていますけど、子どもたちも薬漬けになりそうな傾向があるのではないでしょうか。

前置きが長くなりました。

1103231

先日、首の周りと耳の後に蕁麻疹ができた子どもが薬をもらってきました。それがこれ。アタラックスPという薬です。説明書きにはこうあります。

………………………………………………………
湿疹や皮膚炎を伴うかゆみやじんましんの症状を改善したり、不安や緊張を和らげる薬です。アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの働きを抑制してアレルギー症状を軽減し、また、中枢に作用して神経症を改善します

眠気、体がだるい、口が渇く、気持ちが悪い、食欲がない、胃の不快感、頭痛、めまい等が現れる事があります。
………………………………………………………


気になる一節があります。「不安や緊張を和らげる薬です」とはいったいどういうことでしょう。アレルギーの薬効とは関係ないような気がします。さらに、「中枢に作用して神経症を改善します」とは? 辻褄が合っているような、ちぐはぐなような、妙に説得力がありますけど、よく読むとキツネにつままれたような気分になる文章です。(個人的には新造語として「タヌキに耳打ちされた」と表現したい)

下段の文章に至っては悪いことづくめ。とても役に立つ薬とは思えぬ症例が列挙されています。よ〜く考えれば、「薬は怖いものなんだ」ということを暗にほのめかしているような気がしなくもありません。勘ぐれば切りがありませんが、もしものときの責任回避ともとれます。「承知の上で服用すること」という念書みたいなものでしょうか?


結論から言いますと、この薬は抗うつ剤としても効果があるようです。製造元はファイザー社(抗うつ剤としては塩酸ヒドロキシジンという成分が効力を発揮するようです)。

今回、子どもがもらってきたのはパモ酸ヒドロキシジンという成分が含まれています。薬に関する詳しい事はわかりませんが、塩酸の部分がパモ酸に置き換わった薬のようです。化学物質は組成の一部が別のものに置き換わるとまったく違う活性を示すものがありますが、ヒドロキシジンは皮膚科領域・神経科領域の両方に効果を発揮するみたいです。ちょっと難しく言うと、皮膚科の領域では「抗ヒスタミン薬」、神経科の領域では「抗うつ薬」という二つの顔を持っているということでしょうか。抗ヒスタミン薬としては開発時期がかなり古い「第一世代抗ヒスタミン薬」に分類されています(そのため、価格の安いジェネリック医薬品になっていると思います)。

ひとまず、かゆみという視点でこの薬を見てみました。

かゆみやアレルギーと言うと必ず出てくるのがヒスタミンという言葉。ヒスタミンと言うとかゆみの原因物質という先入観を持つ自分ですが、詳しい事はあまりよく知りません。


ヒスタミンは私たちの体の中でも合成される物質であると同時に食物からも摂取しています(体の中では必須アミノ酸のヒスチジリンから合成されます)。人間の体の中にはいろいろな細胞がありますが肥満細胞や好塩基球、ECL細胞などが産生するとのこと。なかでも肥満細胞内には高濃度で存在しているそうです。普段は細胞中の顆粒に貯蔵されているらしいのですが、細胞表面の抗体に抗原(アレルギーの原因物質)が結合すると細胞外に放出されます。

ヒスタミンは痛みやかゆみを感じる知覚神経を刺激します。その刺激が脳に伝えられ、さらに神経終末に伝えられ神経ペプチドと呼ばれる神経伝達物質を放出させる事になります。この神経ペプチドは肥満細胞を刺激してヒスタミンの放出を促します。こうなると、まるで「かゆみのエンドレスサイクル」のような様相ですね。素人としては、いったいどこでかゆみが止まるんだろうと心配になります。でも、確かに「掻きだすと止まらない」という悪魔の連鎖の原理がよ〜くわかります。

抗ヒスタミン薬ということは、このヒスタミンの分泌を抑制することなのでしょう。細胞上にあるヒスタミンの受容体はH1〜H4までの4つがあるそうです。そのうちのH1がかゆみと関係のある受容体で、皮膚や粘膜、気道平滑筋などに存在するとのことです。このH1受容体にヒスタミンがくっつかないようにする拮抗薬のひとつがアタラックスP(パモ酸ヒドロキシジン)というわけです。

かゆみやアレルギーに対する薬効を持つパモ酸ヒドロキシジンですが、ご多分に漏れず副作用がついてきます。それが、薬の説明文の引用にある下段の症状です。改めて記すと…

眠気、体がだるい、口が渇く、気持ちが悪い、食欲がない、胃の不快感、頭痛、めまいなど。

これらは、パモ酸ヒドロキシジンが持つ「抗コリン作用」というもののようです。さて、抗コリンとは何でしょう? コリンと言えばアセチルコリン。きっと頭(脳)の中で起きている生理現象に違いありません。

あまりにも長く書き過ぎたので、つづきは次回にしたいと思います。

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