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2011年5月

信濃の暁

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信濃の春は遅い。

冬の山は雲を呼び、

雪が山を鎖すから。

麓で花が咲き乱れていても

山の上では木々が芽吹いたばかり。

だけど、春はすぐそこまで来ている。

でもね、ちょっと目をそらしたら

見失ってしまうかもしれないよ。

遅れた春は雪融けと一緒に

駆け足で通り過ぎてしまうから。



ゴールデンウィークに小布施の友人を訪ねたとき、彼が志賀高原に連れて行ってくれた。道路に雪はなかったが、斜面には信じられないほどの雪が残っている。リフトが何本も動いていて、スキーを楽しむ人の歓声が遠くから聞こえてきた。


「今年はいつもより雪が遅くまで残っているなぁ」


地球温暖化が世間で問題視されているけど、逆に寒冷化が進んでいるのではないかと友人は話していた。


確かに自分たちが子どもの頃は、地球は氷河期(小氷河期?)に突入しようとしているという話もあった。子どもながらに、将来はどうなるんだろうと心配になったものだ。それがどうだろう、今では温暖化が進行しているというんだから訳が分からない。


そんな経験から学んだことは「科学は絶対ではない」ということ。科学が証明することの大半は信用できるが、自然現象を予測したり解明したりすることはとても難しいことなんだと感じる。



今回の小布施の旅で発見したことがある。それは山の斜面を彩る薄い赤紫の木々の芽吹きの美しさ。山の中腹一面に広がる萌芽の色は、雪山に春が訪れたことを告げる印のひとつだと思う。


世間は秋の紅葉をもてはやすが、春の山々の芽吹きにも勝るとも劣らない美しさがある。あでやかな色で心を躍らせる紅葉もいいけど、色は薄いが生命力を感じさせる春の萌芽も捨て難い。紅葉に対して萌葉という言葉があってもいいのではないだろうか。


さて、萌葉の正体について…

目が衰えてきたので遠くからだとなんの木が芽吹いているのかわからなかったが、友人がいろいろな場所に連れて行ってくれたおかげでなんとなく推測できた。


薄い赤紫に見える萌芽のほとんどは、たぶんシラカバ・ダケカンバなどのカバノキ科の植物だと思う。今回の旅でカバノキの仲間に対する見方がちょっと変わった。山の斜面に広い面積で群落を形成していることに驚いたが、春の芽吹きの美しさの感動はそれ以上。春先に山を訪れる楽しみがひとつ増えた。それと同時に、早春の志賀高原にまた来たいという気持ちが大きくなった。



写真は「信州のサンセットポイント100選」のひとつ、横手山より撮影。向こうに見える山並みを越えると越後国かぁ〜


左側にある山は「高社山・こうしゃさん」と友人が言っていました。確か登ることもできるとか…


友人の双眼鏡を借りて覗いてみたら、崩れそうな岩場があってちょっと危なそうな雰囲気。でも、なんだか登ってみたくなる山です。

(撮影:2011.5.1/志賀高原・横手山/ゴールデンウィークに訪問した小布施の回想…その3)

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緑の蝶を見つけたら…

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過去の写真を見ていたら、こんなきれいな蝶を見つけました。


というのは半分ウソ。


一般的には蛾と呼ばれる虫です。でもね、蛾と蝶の線引きって、いったいどこにあるんでしょう? 


昼に活動するか、夜に活動するかの違い?


蜜を吸うか吸わないかの違い?


色や模様の違い?


それとも触角の形状? 飛び方の違い?


活動時間や蜜の件については、蛾でも蝶と同じような種類がいます。


海外では両者を区別しない国もあるという噂を耳にします。


日本では明らかに蛾と蝶は区別されていますが、写真のような美しい蛾を見ると果たしてそれが正しいことなのかどうかわからなくなってしまいます。


さて、緑の美しい蛾の名前ですが…たぶんヒメシロフアオシャクだと思います。


この蛾に関することは別のブログ「がガ蛾探検隊」に書きましたので、興味のある方はこちらからどうぞ。

(撮影:2010.8.8/筑波山中腹)


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憧れのこけぼん

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以前から造ってみたいと思っていたのがコケの盆栽。一般の盆栽のようにコケが添え物になっているのではなく、コケが主役の盆栽です。コケ玉も造ってみたいのですが、コケ盆の方が簡単そうなので、まずはこちらから。


「楽しいことをしよう!」と子どもをそそのかし、向かったのはリサイクルショップの陶器コーナー。ここで100円未満の小皿を自由に選ばせました。


「この器に好きなコケを載せて、素敵な盆栽を造ろう!」


子どもたちは意味をよく理解していない様子でしたが、とにかくはしゃいでいます(たぶん、盆栽の意味もわかっていないと思います)。


コケボン、コケボンッ! と口にしながら山に向かう子どもたち。


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とりあえず目についたコケを採集して帰宅。出来上がったのが上の写真のコケ盆。杉の根元に生えていたコケが気に入ったようなので、ガラスの容器にジャリを入れてコケが張り付いている樹皮ごと載せてみました。う〜ん、なんとも涼しげ〜


気に入ったので食卓に載せています。しかし、それを見たかみさんの視線はなんとも冷ややか。その目からは明らかに拒絶ビームが発せられています。子どもが喜んでいるので、暗黙の了解を得たと勝手に解釈してそのままテーブルに置いてありますが…


ん〜、撤去命令が下るのは時間の問題でしょうか?


今回利用したコケについては別のブログ「シダ・コケ探検隊」に書きました。興味のある方はこちらからどうぞ。

(コケ採集日:2011.5.21)


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不思議物体粘菌子実体

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これなんだろう?


普通の人なら絶対にそう思うであろう物体。それが粘菌(変形菌)の子実体だと思います。なかにはきのこの一種と思う人もいるかもしれません。あるいは巨大なカビと思う人もいるでしょう。


知っている人は「あぁ、それ粘菌だよ」とさりげなく言うでしょうが、知らない人にとっては疑問符連発の代物です。


写真の物体は、たぶんムラサキホコリと呼ばれる粘菌の仲間の子実体だと思います。別のブログ「きのこブログ」にも書いてありますので、興味のある方はそちらに飛んでみてください。

(撮影:2011.5.21/石岡市)

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江戸のウッドデッキに雨を見る

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雨の日は嫌いじゃない。

風景が違って見えるから。

町をきれいにしてくれるから。

雨の日と晴れの日と曇りの日と

きっと同じくらいあるのだろうけど、

雨をじっくり見る日は少ない。

濡れるのが嫌だから?

冷たいのが嫌だから?

薄暗いのが嫌だから?

だったら二階の窓から見るといい。

雨に塗られて様変わりした

別の景色が見えるから。



「雨の日の小布施もいいものだ」


そう思わせてくれたのが、高井鴻山記念館の二階から見た景色。向こうには山が迫り、近所の濡れた瓦が鈍く光っている。庭を歩く人の踏みつける砂礫が、晴れた日とは違うしっとりとした音を響かせている。

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江戸時代末期に建築されたという屋敷には、二階部分に縁側のような廊下がある。張り出た庇が、いかにも日本古来の家の造りを感じさせる。解釈が間違っているかもしれないが、まるで屋根付きのウッドデッキにいるような雰囲気がある。江戸時代のウッドデッキと思えば、なんとも粋な造りだ。こんな場所から景色を愛でるのは、なんと贅沢なことだろう。


雨上がりの小布施を歩くのもまた格別な趣がある。

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晴れの日ばかりの旅じゃつまらない。雨に濡れた別の顔を見られたことに感謝するべきなのかもしれない。


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高井鴻山は幕末から明治にかけて活躍した小布施の豪商だそうで、幕末の志士や文人墨客と幅広い交友関係があったということだ。そのなかでもとりわけ有名なのが葛飾北斎との関わりだろう。北斎と小布施の関係は広く知られているが、その元を質せば高井鴻山が北斎を招いたことに行き着く。小布施に行ったら北斎館を観るのはもちろん、高井鴻山記念館にも足を運ばなければなるまい。鴻山が描いた妖怪画もじっくりと味わいたいものだ。


(撮影:2011.4.30/ゴールデンウィークに訪問した小布施の回想…その2)


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心がとけそうな色

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青いような紫のような不思議な色。これと似たような色をした花は数々あります。とくにキキョウの仲間にはこの色が多いような気がします。きっと特定の虫を引き付ける視覚的な効果があるのではないでしょうか。


写真の花の名はフデリンドウ。明るい雑木林の下草の間や林縁にひっそりと咲いていたりします。フデリンドウはキキョウ科ではなくリンドウ科の草本。落ち着きと優雅さを兼ね備えたなんとも言えない色をみていると、本当にうっとりとしてしまいます。


いい色やなぁ〜

(2011.4.29/つくば市)


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叱られない蛙

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蛙は鳴いても叱られない。

どんなに、どんなに騒いでも怒られない。

小さな黒い粒が無数のおたまじやくしになり、

数えきれないほどの仲間が

動物や虫に食べられ消えていく。

田んぼや川で鳴いているのは、

生き残った蛙だけ。

いいじゃないか、鳴かせておこう。

思う存分鳴かせておこう。



先日、長野県の小布施に行きました。帰りは深夜。高速道路を走っていると、北関東自動車道の岩瀬(茨城県)付近で、何やら騒々しい音が聞こえ始めました。窓をちょっと開けると音は一段と大きくなり、全開するとにぎやかな歌声に変わりました。それは、田んぼから響いてくる蛙たちの鳴き声でした。


田んぼは高速道路からかなり離れていますが、鳴き声はすぐそこで鳴いているように聞こえます。蛙の大合唱がかなりの大音量であることを改めて感じました。もっと近くで聞いたら、不正改造した車やオートバイの爆音に匹敵するかもしれません。蛙ってかなりうるさい生きものなのかも…


ペットの鳴き声がうるさいと言って、ご近所とのトラブルが発生することも多い世の中ですけど、わざわざ田んぼにまで出向いて蛙を叱る人を見たことはありません。それを思うと、うるさいながらも自然が作り出す音として受け入れられているのかもしれません。遠くから聞こえる蛙の声はどこか情緒的ですし、カジカガエルの声などはいくら聞いていても飽きません。


ほかの人たちが蛙の声をどう思っているのか、かなり気になっています。推測ですが、蛙の声をうるさいと思う人はかなり少ないのではないでしょうか。どちらかというと「好き」という人の方が多いような気がします。


こんなくだらないことを真剣に考えていることが多い自分。蛙の写真を撮る機会があったらこのことを書こうと思っていました。偶然にも蛙に出会ったので今日のブログで報告した次第です。


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写真の蛙は山梨県の西沢渓谷で見つけたものです。図鑑の写真と見比べてみましたが、よくわかりませんでした。たぶんアズマヒキガエルだと思います。赤が強く出た個体や黒っぽい個体など、色については個体差があるようです。写真のものはオレンジ色が強く出ている個体なのかもしれません。


(2011.5.11/山梨県・西沢渓谷)

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この先で待つのは賽の河原か霊場か

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山の上には想像もしていなかった風景が広がっていることがあります。


ここは下野国……栃木県・矢板市の山の上です。那須塩原市と接する矢板市の北部には八方ヶ原というところがあります。レンゲツツジの大群落で有名な場所で、花が咲く頃の景観といったら、それはそれは美しいものであります。


訪れたのは花のシーズンよりかなり早い時期でしたので、山歩きを楽しんできました。


小間々の駐車場から歩き始めて大間々の駐車場へ。この間にレンゲツツジの大群落があり、まるで花の回廊のようになっています。大間々の駐車場からハイキングコースが四つあったので踏破してきました。


コースは「やしおコース」「青空コース」「見晴らしコース」「林間コース」。ついでにもうひとつの散策コース「外周遊歩道」も歩いてきました。

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こちらは「見晴らしコース」の終盤で見られる不思議な景観です。急な傾斜を登り岩場に出る道は、修験道の道を感じさせるものでした。森林限界というには標高が低いですが、針葉樹の背もそんなに高くなく、厳しい環境であることをうかがわせます。


さらに歩みを進めていくと、そこには賽の河原を彷彿させる荒涼とした景観が広がっています。なにか霊場的な雰囲気を漂わせていますが、寂しさや虚しさのようなものはありません。周りには人影は一切なく、静かな時間がただ流れているようで清々しささえ感じられます。たった一人でこの地に立っていたということも影響していると思いますが、不思議な感覚を味わうためにまた訪れたいと感じさせる場所でした。



写真は、標高1539メートルにある八海山神社です。小さな祠があるだけですが、山岳信仰の拠り所的な気配。決して立派なものではありませけど、無視できない存在感があります。自分はこのような存在というか信仰心には妙に惹かれてしまう質であります。


訪れた日の天気は曇り、八海山神社に着く頃には霧が立ちこめていました。山の裾からは冷たく湿った霧が休むことなく吹き上げてきます。幻想的な景色が現れる条件が揃った日に登れたことはとても幸運でした。


快晴の眺望もいいですが、幽玄な景観もいいものです。

(2011.5.6/矢板市)


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鳳凰が飛び立つ町

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葛飾北斎が晩年の一時期を過ごした信州小布施。この町には八方睨み鳳凰図がある。それは岩松院というお寺の本堂の天井に描かれている。なんと二十一畳もの大きさの迫力ある大作だ。


鳳凰と言えば空想上の生きもの。この世には実在しない霊獣である。数々の物語に登場するほか、お寺などの彫刻に施されて馴染み深い存在でもある。しかし、どこか現実離れをした色彩と姿に、ちょっと距離を置いて見てしまうものだ。


ところが、岩松院の鳳凰はちょっと違う。生々しく迫力があり過ぎて、実際に生きているものを描き写したかのように思えてしまう。そのせいか、空想上の生きものよりもっと身近に感じられる。


自分にとって、鳳凰と言えば小布施の天井画が真っ先に思い浮かんでしまう。睨みつけるその鋭い眼光は、よく見るとどこか無機的で“虚空”を感じさせる。怒りや畏れ、猜疑心といった色はどこにもない。鳳凰の目は、晩年の北斎の目のようにも感じられる。


八十の齢を越えて筆を執る精神力。当時の八十と言えば人並みはずれた経験を積んだ長老とも言える存在であろう。そんな北斎が、当時の世の中を静かな心で覗いているような気がしてならないのである。



今年のゴールデンウィークに訪れた小布施。信州北部、いわゆる北信の観光地として有数の集客力を誇る町である。多くの人たちが憧れや羨望をもって訪れるのであろうが、自分はそんな気持ちで足を運んだわけではない。単に、友人の住む町だから遊びに来ただけ。


家族や恋人同士が連れ立って歩いている町のなかを自分は違う感覚で歩いていたと思う。観光客の目ではなく、単なる遊び客としてゆったりと眺めてきた小布施の印象を気が向いたときに綴ってみたいと考えている。


思いついたら書くし、気乗りしなかったら書かない。それもまた小布施的であると解釈している。

冒頭の写真は岩松院の仁王門。五月の朔日にまだ桜が咲いていて、鳳凰の羽ばたきが花びらを舞い上げているように感じられた。

(2011.5.1/長野県小布施町)

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つくば「きのこ計画」

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「日本をインドにし〜てしまえ!」と歌うのは、かの有名な大槻ケンヂ率いる筋肉少女帯の『日本インド化計画』。カレー好きの心理や行動をものの見事に歌い上げた名曲中の名曲である(冗談です)。


(じつは、わたくし“筋少”大好きです)


今回のタイトル「つくば きのこ計画」とは、つくばをきのこだらけにしてしまえというプロジェクトのことではなく…

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筑波実験植物園(今はつくば植物園と呼ぶのかな?)に生えているきのこを数年間にわたり調査してリスト化・DNA標本化しようというもの。こりゃ、きのこ好きにはたまらんプロジェクトです。


わたくし、専門家でもなんでもありませんが、たま〜に参加しようと目論んでいます。今年の目標は「きのこを100種覚えること」なので、とてもやりがいがあります。一日中行動すれば、まさか4〜5種は覚えられるでしょうから…

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というわけで、今回覚えたのはウラスジチャワンタケでした。

(撮影:2011.4.29/筑波実験植物園)


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緑の結晶 〜水草の美学〜

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水草。それは一般の人々からは縁遠い存在。でも、今この瞬間に同じ地球上で生きている生きものです。


水草がニュースになることは皆無ですし、普段の生活で水草が目に入る場所に出かけることも滅多にないでしょう。ほとんど私たちの意識にのぼらない存在、それが水草かもしれません。

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珍しくないのに珍しい植物。言い換えれば、目新しい植物のひとつかもしれない水草にふれる機会がありました。

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改めて目にすると、とても不思議な形をしていることに驚きます。見当違いかもしれませんが、私には雪の結晶のように見えてしまいました。

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写真は上からコウキクサ、アカウキクサ。三番目はアカウキクサに似ていますがちょっと違う感じです。四番目は不明ですけど、まるでダリアの花のようで幾何学的な形がとても美しいです。

(撮影:2011.4.29/筑波実験植物園)

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