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地獄の案内人と薬売り

「立山黒部アルペンルート」で名高い立山。ここは黒四ダムの建設で使用した道路やトンネルを転用した観光コースが見事に仕立て上げられています。ロープウェイやケーブルカー、狭いトンネルを走行するトロリーバスを乗り継ぎながら目にする景色は、まさに“絶景”の一言に尽きるでしょう。


決して見ることが叶わなかった景色。それがいとも簡単に見られるのは、奇跡の一種と思っていいと思います。


多くの人は乗り物を利用して立山の魅力を堪能していることでしょう。しかしその一方で、自らの足で立山を歩いている人も少なくないようです。とくに、室堂の周辺はハイキングコースが充実していて大勢の人が訪れます。

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じつは8月の初めに立山のハイキングに行ってきました。そのとき感じたのが…


ここは「あの世を具現化した山なのか」ということ。


ハイキングをしていると、血の池、地獄谷、えんま台、弥陀ヶ原、みくりが池、浄土山など、妙に気になる名前が耳に飛び込んでくるのです。

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これって…極楽と地獄?


あたかも死後の世界がそこにあるかのような気分になります。


聞いた話によれば…


その昔、この地域の一部の集落の人たちは数幅の地獄絵巻を手に周辺の国々へ出かけ、立山に登ることをすすめていたそうです。言葉が間違っているかもしれませんけど、それは「立山参り」みたいなものだったのではないでしょうか。


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歴史や民俗に詳しくない自分は、このことをどう解釈していいのやらさっぱりわかりません。でも、昔の人の死生観において“地獄”というものが想像以上に重い存在であったのは容易に想像できます。それは、底知れぬ恐怖で心を縛りつけるものだったのだろうと思います。


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地獄絵巻には、閻魔大王の前で評定を待つ人の姿、六道に落ちた罪人たちの阿鼻叫喚の様子が描かれていたのだと思います。地獄の沙汰は誰もが受けなければならないと信じていた昔の人にとって、「地獄」は考えたくなくても考えてしまうことだったに違いありません。できることなら地獄の様子を事前に知っておきたいと誰もが願ったのではないでしょうか。


今でこそ道路が整備されて、えんま台や地獄谷、血の池がある室堂付近にはバスで来られますが、昔の人たちは山の麓から自らの足で登ってきたはずです。それは難儀なことだったでしょう。言い換えれば苦行的な一面があったろうと思います。


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以上、想像に任せて勝手なことを述べてしまいました。


上記のことについて、冗談まじりに現代的な解釈をすると…


地獄絵巻は旅のカタログで、誰もが気になる地獄という観光地に多くの人を集客するという構図にも見て取れます。こんなことを考えると、立山という場所は昔も今も有名な観光地であり続けているのだと感心します。そう思うと、立山参りに限らず、伊勢参りや四国のお遍路さんなどは旅行の原点なのかもしれません。(ちょっと冗談がキツ過ぎましたかね)


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ついでに言っちゃうと…


たぶん、地獄絵巻を携えての立山参りのすすめをきっかけに、置き薬に発展させていったのではないでしょうか? そうなんです、「越中富山の薬売り」の原点がここにあると私は想像します。それにしても、すごいビジネスモデルですね〜。富山の人って発想が素晴らしいです。


勝手なことばっかり言ってしまいましたが、こんなことを考えるのも旅の楽しみだと思います。

(撮影:2011.8.1〜2/富山県立山町)

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コメント

こんばんは。
ご無沙汰しております。

すごい風景ですね~
いまだに森林限界を超えたところに行ったことがないので、見てみたい憧れの景色です。

重装備で苦労しなきゃ行けないところだと思っていましたが、バスで行けるとは意外でした!ハイキングコースもあるんですね。来夏に行ってみようと思います。

投稿: taro | 2011年10月 1日 (土) 22時02分

taroさん、こんばんは。ご無沙汰しております。

さすがに冬に行くのは困難です。ぜひ、来夏トライしてください。涼しくて、下界とは違って別天地です。「信じられな〜い」って感じでしょうか。

気温や湿度の違いはもちろんですが、生えている植物が全然違います(当たり前か?)。いかにも高山植物って感じです。特に花の色が平地のものと違う気がしました。

いったいどんな虫たちが花粉を運んでくれるんだろう?

花の前で、虫がやってくるのを待ちたい気分になりました。

投稿: mushizuki | 2011年10月 6日 (木) 00時22分

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