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2011年11月

「旅を見つける旅」完結編(前編)

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この地に立ったのは一年前の約束を果たすため…


そう、あれは昨年の10月のこと。新潟の村上市から山形の米沢へ向かう際、国道113号を通った時の約束でした。別に誰かと交わしたものではなく、自分自身に誓ったものです。


別名越後街道、または小国街道とも呼ばれるその道は、荒川によって作られた渓谷に沿って走る道でした。道路地図には「荒川峡」と記されています。この道とほぼ並行して走っているのが米坂線というJRの路線です。


昨年、道を走りながら考えていたのが、この米坂線の車窓から紅葉の渓谷を眺めること。乗ったことのないローカル線から見る風景を想像していたら、どうしても乗りたくなってしまいました。


というわけで、約束を果たすために米坂線の始発駅・米沢へと向かったのでした。


米沢へは何度も足を運んでいるのに、なぜか駅はしみじみと見たことがありませんでした。せっかくの機会なので列車が出発するまでの時間を利用して、軽く散策してみました。

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駅前から二つの道が市街地へと伸びています。日曜日というのに人や車の通りはそれほど多くはありません。人口約9万人(89009人・23年10月現在)の市としては駅前の往来がとても静かです。

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目を引いたのは竜宮城のような旅館というかホテルです。「おとわ」という名称が写真から読み取れます。これはかなり気になるお宿です。ネットで調べてみたところ、創業は明治三十年、国の登録文化財にも指定されているホテルでした。う〜ん、お金があれば一度は泊まってみたいです。


失礼…話がそれました。

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では、駅前に翻る「毘龍」の旗に見送られながら旅路を進もうではありませんか!


いやぁ、さすが上杉の城下町です。戦国時代に上杉家の軍旗に揮毫された“毘”と“龍”を駅前で見られるなんて…。こんな鼓舞を受けると、いやが上にも旅の気分が盛り上がってきます。

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でも、ホームは閑散としていました。やはり車社会の影響はこんなところにも表れているんですね。

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こちらが米坂線の車両です。気動車というのでしょうか、ディーゼルエンジンの車両(キハ110)です。現在は新しいデザインの新車両ですが、数年前まで「キハ28、40、47、48、52、58」と呼ばれる気動車が活躍していたそうです。できればその車両に乗ってみたかったなぁ…


ちなみに米坂線は、山形県米沢の米沢駅と新潟県荒川町の坂町駅を結ぶ約90kmの鉄道です。区間内には20の駅があります。ついでと言っては何ですが、車両内の様子をご紹介。

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と、まぁこんな感じです。


そうそう、今回の旅は昨年10月と同じくS君が同乗しています。じつは彼“鉄ちゃん”です。彼の呪文に惑わされたのかどうかは定かではありませんが、知らず知らずのうちに私も鉄ちゃんの階段を上り始めたのかもしれません。まぁ、上り始めたと言ってもまだ一段目をうろちょろしている程度ですが…


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車内ではくつろいだ地元のみなさんの姿が見られました。向かいの席に足を投げ出している方が多数いらっしゃったのでちょっと安心。


何が安心したかって? こんなことをするのは常磐線を利用している我らだけかと思っていたので…


ほっとしたところで、お腹がすいてきました。そこで車内でランチタイム!


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いただいたのはご覧の駅弁「牛肉どまんなか」。すんごいストレートなネーミングです。“豪速球”と呼んでいいほどの商品名。しかもど真ん中ですから超ストライクでしょう。ほら、お弁当の中身を見れば、もう返す言葉がありません。

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きっと「どまんなか」とは山形名産のお米の銘柄のことだと思います。「牛肉+お米」では単なる牛丼。「牛肉+銘柄米」でこそ成り立つ素晴らしい商品名です。うむ〜、ここはやっぱり別の銘柄米「はえぬき」ではダメだったんでしょうね。


しつこいようですが、英語の表記も見逃せません。


BEEF DOMANNAKA


こりゃまたストレート。じつに爽快です。個人的にはこのような潔いコピーは大好きです。外人さんに意味が通じるかどうかなんて、どうでもいいんです。つまりは雰囲気というか勢いです。外人さんだって食べりゃわかるわけですから。味を気に入ってくれれば、次に買い求める時に便利です。店の人に「ビーフ ド・マ・ン・ナ・カ アリマ〜ス〜カァ〜」と言えば済むわけですから。


売る方だって理解しやすいです。「オ〜、コレデ〜ス〜ネ〜、ド・マ・ン・ナ・カ」。


そんなやり取りが目に浮かびます。この商品名は大正解です(きっと)。


あれ? 話がすごくそれてしまいました。これぞホントの大脱線です。ではここらでポイントを切り替えて、続きは次回に致します。終着駅はどこになるのか? 意外な展開が待ち受けているような気が…

(2011.10.30/山形県米沢市)

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亀虫はお腹が甲羅だったのね

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久々の「カメムシTry!」です。カメムシの臭いを確かめるこのコーナーの今回の被験者はトホシカメムシ。名前の通り、背中に10個の黒点があります。加えて、肩口の尖った形状が何かのエンブレムみたいでカッコいいですね〜

ニレやカエデ類、サクラ、ミズキ、シナノキ、ナナカマドなどに寄生すると図鑑にあります。山地の広葉樹で生活するとの記述がありますから、市街地などではあまり目にすることがない種類ではないでしょうか。確かに、家の周りでは見たことがありませんね〜


さて、臭いです。いわゆる一般的に認識されているカメムシ臭でした。ただし、ちょっぴり爽やか系が入っているような感じです。臭いの持続性はそれほど長くないように感じます。ひょっとすると揮発性の高い成分が含まれているのかも。


このカメムシ、一般的なアオカメムシやクサギカメムシよりは一回り大きな種類です。普通の人が見たら「でかいなぁ」と感じるかもしれません。私の指の大きさと比較してみるとわかりやすいかも。


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裏返しにしてみると、なんとなくどこかで見たような形。亀の甲羅に似ています。今までカメムシはカメムシと、当たり前にそう呼んでいました。半世紀近く生きてきましたが、カメムシの名の由来を深く考えてみたことがなかった自分。ずんぐりむっくり、亀のような姿だからカメムシなのかなぁ…などと漠然と思っていただけです。


ところが、裏返しにしてしみじみ見ると…名前の由来が腹側の形状にあったのかと気づいたわけです。こうしてみると、確かに亀の甲羅に見えます。はぁ〜、そうだったのか! 


(2011.11.4/福島県矢祭町)

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麗しの桂、晩秋の森の香水

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数日前の記事に桂の話を書きました。本当にカツラの木(葉)が芳香を放つかが疑問でしたが、その答をようやく確かめることができました。


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前回の記事に書いた滝川渓谷のハイキングでのことです。コースの途上で、とてつもなく甘い香りが鼻をくすぐりました。それは以前のブログにも書いた奧鬼怒で感じた甘い匂いとまったく同じものです。

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その匂いの発生源にあったものは、間違いなく桂の木。数えきれないほどの黄色い葉が散らばっています。丸い団扇型の葉っぱはとても愛らしく、黄色く色づいています。


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さっそく数枚まとめて手に取り鼻に近づけました。ところが、匂いを感じません。念のために裏返してもう一度。すると葉の裏側からかすかに甘い匂いがするではありませんか。間違いありません。森に漂う甘い香りはこのカツラの葉の匂いです。


キンモクセイが秋の訪れを告げる初秋の香りだとするなら、カツラの香りは晩秋を告げる香りと言えるのではないでしょうか。これはまさに森の香水です。あ〜、いい香り。やっぱり自然の匂いって素敵です。


(2011.11.6/福島県矢祭町)

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霧立ち籠める妖精の森から/雨ハイキングのすすめ

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再び妖精に出会いました。以前もこの森でかわいらしい妖精に出会ったことがあります。(その時の記事はこちら


というのは冗談ですけど、渓流沿いにあるこの森ではたびたび美しい情景を目にします。


ここは福島県矢祭町にある滝川渓谷。ちょうど茨城県の常陸太田市(旧里美村)と福島県の県境付近にあります。阿武隈の秘境とも言われているこの渓谷は、地図に載っていませんし、カーナビの案内にも出てきません。そんな点でも秘境と呼ばれる意味がわかるような気がします。知らなければ行きようがないわけで、その結果、訪問者の少ない「人の手垢にまみれていない観光地」になっているとも言えるでしょう。


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ここにはハイキングコースが整備されていて、渓谷を造り出している滝川に沿って山の上の方に登っていくことができます。地元の人の話では、渓谷の最上部の標高が500メートルとちょっと。駐車場がある麓の標高が200メートルくらいだそうですから、約300メートルを登ることになります。爽やかな水音を常に耳にしながら歩けるこのコースは片道約3キロメートル。所要時間はだいたい1時間ちょっとでしょうか(片道)。


滝川の水はどこから流れてくるのかと言うと…
茨城県にある三鈷室(さんこむろ)山とそれに連なる山々の水を集めて滝川渓谷へと導かれているそうです。


さて、ハイキングの話に移りましょう。


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ハイキングというと、どうしても雨の日は敬遠されがちです。ですが、雨の日にしか見られない特別な風景というものがあります。まず、木々が活き活きしているように見えます。葉の色などは濃度10%アップ。瑞々しさがあふれています。特に春から夏にかけては森の匂いが強く感じられることでしょう。


上記に加え、雨が降り出したり気温や気圧の変化があったりすると霧や靄が漂い始めます。そのときの幻想的な風景は、晴れの日には決して見られない特別なものです。まぁ、雨の日のハイキングも捨てたものではないということです。


ただし、標高1000メートル以上のハイキングあるいはトレッキングになると、そんな悠長なことは言っていられません。あくまでも700〜800メートル級の里山ハイキングでの話です。


滝川渓谷を訪れたのは11月上旬のこと。まだ紅葉のピークには早かったようです。山の下では始まったばかり、中腹でやや色づき始め、山頂部で見頃といった感じでした。前向きに考えると、紅葉が進む過程を一日で楽しめるといったところでしょうか。


(2011.11.6/福島県矢祭町)

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湯治旅の気分が味わえる奥鬼怒の秘湯

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前日のブログで紅葉と桂の葉の香りについて書きました。この一件は、10月に訪れた奧鬼怒で感じたことを綴りました。今回はその続編というか本編です。


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奥鬼怒は文字通り、鬼怒川の源流近くの地域。栃木県の山深いところにあるこの地域には秘湯と呼ばれるいくつかの温泉があります。自家用車で途中まで行くことができますが、その地点からは温泉に宿泊する客に限り、それぞれの宿がマイクロバスで送迎しています。なので「日帰り入浴」を楽しむには宿のある山深いところまで歩いていくしかありません。


「歩いていくしか」というのはなんとも消極的な言い方。「歩いて訪れることができる」という言い方が正しいでしょう。何事も便利になった現代、自らの足で歩いて温泉に行くというのはとても刺激的で新鮮な体験と言えるのではないでしょうか。


機能的な服を着て、トレッキングシュースを履いて装備は万全。でも、気持ちを切り替えて、木綿の着物にわらじを履いた江戸時代の人間と思い込んで山道を歩きたいものです。温泉宿を求めて山道を行く昔の旅人になりきって歩くと、奥鬼怒の秘湯の旅は数倍楽しくなります。


さて、温泉についてご紹介すると…


まず、自家用車で行ける最終地点にあるのが女夫渕温泉(めおとぶちおんせん)。そこから歩いていくと手前から順に、八丁の湯、加仁湯(かにゆ)、日光澤温泉などがあります。確か、女夫渕温泉は日帰り入浴の場合、混浴の露天しか入れなかったと記憶しています。その他の温泉も混浴の湯なのでちょっと恥ずかしかも…。ただし女性専用の浴場を用意している温泉もあります。


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噂によると人気なのは加仁湯だそうで、泉源の違う5つの温泉に入れることが魅力なようです。


自分は人が集まる場所をなんとなく避ける性質があるようで、足は勝手に一番奧にある日光澤温泉に向いてしまいました。


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こちらが日光澤温泉です。この外観、自分的には“超”どストライクのたたずまい。これぞ昔の旅人気分になっている自分をいやが上にも盛り上げてくれる素晴らしい温泉です。


ガラガラと引き戸をこじ開け、入浴料500円を渡します。あとは誰もいないことを願って湯船のある場所に…


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お〜っ、ラッキーなことに誰もいません。なので、写真も撮り放題。いいですね〜、ちょっと使い古しのプラスチック製の盥が無造作に湯船の縁に並べられています。最高です。この自然な感じのおもてなしが胸にしみます。お湯はサラッとしているわりにちょっとぬめりがある感じ。いい温泉です。


下にはもうひとつ湯船があります。こちらは白いお湯です。ちょっと硫黄臭のあるお湯で、泉源が違うようです。


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おや、先客は誰もいないと思ったら…湯船の角にヤマアカガエルがぷかぷかと浮いています。溺死したカエル君と一緒に湯に入るのも乙なもの。ふと、『鳥獣戯画』のうさぎを投げ飛ばしたカエルの姿勢を思い出してしまいました。


えっ、カエルが浮いているなんて不衛生? そ〜んな小さいことを考えている方にはこの温泉は向いていないかもしれません。まぁ、たまたまですから気にしないでください。そんなことを気にするより、周りの風情あふれる景色を楽しみましょう。


とにもかくにも自分は気に入りました。ぜひまた訪れたい温泉です。

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さて、こちらは八丁の湯。宿の前のモミジが燃えるような色でした。


(2011.10.23/日光市)

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七色絨毯、桂のかほり

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遠くから眺める山の紅葉はじつに美しいものです。ところが、その紅葉のまっただ中に足を踏み入れると、また違った美しさに出会えます。


紅葉の森にいると頭上や遠景の景色にばかり目が行きがちですが、足元に目を向けると山の紅葉に負けないくらいの色の競演が繰り広げられているのです。


ケヤキの下は鈍い赤茶、ミズナラの下は黄色、シラカバやダケカンバの下は明るい黄色、そしてモミジの下は鮮やかな赤が広がっています。樹木が混生しているところでは色が入り交じった複雑な色を表現しています。


森の入口から奥深くへ歩みを進めていく過程で、さまざまな色の絨毯を踏みしめていくことになるわけです。その色の変化を楽しんでいると、長い道のりもあっという間に終わってしまうような気がします。


さくさくと踏みしめる落葉の音や枝を踏み折る小気味よい音を聞くのも愉快なものです。そばを流れるせせらぎ、時折聞こえる鳥の声など、耳を澄ませると森のなかはいろいろな音で満ちあふれていることにも気づかされます。


はらはらと舞い落ちる葉が目に飛び込んでくることもたびたび。その様子は、秋の終わりに向けて時を刻む秒針のようにも見えてくるから不思議なものです。


楽しみは見ることだけにとどまりません。森のなかを歩いていると、ところどころでなんとも言えぬ甘い香りが鼻をかすめていきます。前を歩いている素敵な山ガールから漂ってくる香水なのかと思いましたが、距離を置いたり時間をずらしたりしても同じ場所から同様な香りを感じます。


その時ふと、あることを思い出しました。「カツラの木は黄葉すると芳香を放つ」という一節。植物図鑑に書いてあった解説の一文です。芳香という曖昧なイメージが一気に具体化しました。


この甘い香りはカツラの匂いに違いない。そう思い込んでしまう自分。また一方で「断定するには材料不足だ」と戒める自分。事実を確かめるために周辺の樹木に目を配ります。カツラの木はあることはあるのですが、その落葉を拾い上げて鼻を付けても甘い香りは感じられません。


納得はいかないものの、カツラの芳香というイメージを拭いきれません。この件についえは今後事実を確かめるということで、宿題という形にすることにしました。

(2011.10.23/日光市)

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