このドロップは河合君の。佐久間君のじゃないよ

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わが家にカワイ肝油ドロップがやってきました。


小学生の息子の発育が悪いので、かみさんが心配して購入したようです。


自分も子どもの頃(昭和40年代)よく舐めていましたが、体は大きくなりませんでした。きっと息子も同じだろうと思います。


子どもの頃はあんなに好きだったのに、今目の前にあっても舐めようという衝動が起こりません。なぜあれほど好きだったのでしょう?


ドロップの周りについているザラザラした甘いもの(グラニュー糖?)が好きだったのか、それともあのグニュグニュとした食感がたまらなかったのか、はたまた秘密の薬を口にしているという興奮に酔いしれていたのか…


缶のふたを開けた時にほのかに漂ってくる薬っぽい匂いは、妙に子ども心をくすぐりました。黄色い缶に描かれた健康そうな男の子。彼が笑顔で「おいしいよ!」と言っているようで、母親の目を盗んではいくつも口に放り込んでいたのを思い出します。


それほど好きだったこのドロップが、河合製薬株式会社の製品ということをすっかり忘れていた自分。この「うっかり八兵衛的記憶喪失」のことはだいぶ前に書いたブログで報告しました。そのときなぜか自分は「サクマ肝油ドロップ」だと勘違いしていたのです。ドロップと言えば、あの四角い缶に入っているサクマ式ドロップの印象が強烈に残っています。それと交錯してしまったというわけです。


この楕円形の黄色い缶は、紛れもなく「カワイ肝油ドロップ」です。もう二度と忘れません! あんなにお世話になったのに、恩知らずなボクをどうぞお許し下さい。

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子どもの頃、このドロップは鮫(の肝臓?)から造られていると聞かされた記憶があるのですが事実はどうなのでしょう? 気になって同社のホームページを見たら、「魚のタラの肝臓を絞って凝縮した肝油にはビタミンAやDが豊富に含まれ、栄養学的に非常に優れています」という記載がありました。自分は鮫の体から造られているという話にロマンを感じていたのですが、事実は違ったようです。


ちなみに、現在は魚油からではなく日本薬局方に沿って造られたビタミンA・Dを混ぜ合わせた原料で製造しているそうです。


鮫からタラへ、そして魚油から合成(?)へ、私のなかでは肝油ドロップのロマンがどんどん薄れていってしまいます。今も昔も変わっていないのは、黄色い缶の上で微笑んでいる男の子の顔だけでしょうか。あ〜なつかしい



ここ最近、なぜかお薬系の話が多くなっています。


そう言えば、前回報告した「タウリン」の件です。


タウリンをネットの検索にかけると、放射能の体外排出に効果があるとかいうニュアンスのサイトに出会います。本当か嘘かわかりませんが、放射能問題が話題を独占しているこの状況ですから、ひょっとするとあの栄養ドリンクが今後売れまくるということもあり得るかもしれませんね〜

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猫にあげたい「ファイト一発」

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薬のコマーシャルで、訳の分からない成分を強烈にアピールするものをよく見かけます。


どんな物質なのか、どんな作用をするのか、名前を聞いただけでピンと来る人は少ないはずです。でもなぜか「体にいいものなんだろうなぁ〜」とか「効果のある成分なんだろうなぁ〜」なんて思い込んでしまいます。(恐るべし、コマーシャルの魔術)


たとえば、こんな名称を耳にした事があります。


「タウリン1000ミリグラム配合」
すげ〜、4桁の数字だ。ものすごい量が含まれている。ん? これって1グラムのことか。でも、あの小さな瓶に1グラムってすごいかもしれない。でも、今までは何ミリグラム入っていたんだ? ま、いいか。増量されてお得ってことなんだろう…


「塩化リゾチーム配合」
う〜ん、いったいどんな成分なんだ?


「イブプロフェンがやさしく効く」
薬の場合、やさしいってどういう事だろ? 効き目がゆっくりなのか、副作用が少ないのか、それとも夢心地にさせてくれるのだろうか?


ほかにも、湿布などの成分としてフェルビナクとかインドメタシン、風邪薬などの塩酸ブロムヘキシン、アセトアミノフェン、非ピリン系、ほかにも胃薬のH2ブロッカーなどいろいろな名称を聞いたことがあります。



どうなんでしょ、薬を購入するみなさんはそれぞれの成分の効用や副作用などを調べてから選んでいるんでしょうか。


自分はあまり薬を飲まないので真剣に考えた事はありません。ただし、塗り薬や湿布にはお世話になっているので多少気に掛かります(腰痛持ちなので)。


昨年も湿布薬にお世話になりました。購入する際に比較検討したら、フェルビナクという成分が各製薬メーカーの湿布に含まれていました。ところが、製品によって含有率が違うんです。よ〜く見たら含有率が高いものは値段も高いのです。べつにケチったわけではないのですが、自分は真ん中あたりの含有率のものを購入しました。じつは、薬に関して持論があるんです。


まず、過ぎたるは及ばざるが如し。薬効成分は多けりゃいいってもんじゃないと思っています。そして、副作用のない薬はあり得ないということ。


以上簡単ですが、そんなことを基準に選んでいます。飲み薬を買う時には、ひょっとすると成分まで調べるかもしれません。調べても理解できないでしょうが…



さて、いつものように前置きが長くなってしまいました。今回は「気になるあの成分」として、タウリンを調べてみました。ちょうど家族の誰かが飲んだ瓶が転がっていたので…


いったい、タウリンとはどんな物質なのか? ウィキペディアで調べてみました。


*タウリンは生体内で重要な働きを示す分子。
*含硫アミノ酸から合成される。
*アミノ酸と誤記されるが、カルボキシル基を持たないのでアミノ酸ではない。
*別名アミノエタンスルホン酸

その具体的な作用とは

*胆汁酸の分泌を促進し、肝臓の働きを促す
*肝細胞の再生促進
*細胞膜の安定化

以上、ウィキペディアより。


構造式はNH2CH2CH2SO2OHで、確かにCOOHというカルボキシル基(カルボキシ基ともいう)は見当たりません。ネット上の情報ではアミノ酸のひとつと表記しているものが見受けられます。健康増進のヒントやサプリメントの販売に関するサイトの説明文に多いような気がしました。

(構造式の数字は本来小さいもので表記すべきですが、自分のパソコンでは小さくできないので大きな数字で表記しています)


タウリンという言葉はギリシャ語で雄牛を意味するものだそうで、1827年に雄牛の胆汁から発見された事に由来しているのかもしれません。


体内では胆汁の主成分である胆汁酸と結合して、タウロコール酸として存在しているようです。消化作用を助けるほか、神経伝達物質としても機能しているとのことでした。ほ乳類では肝臓や肺、筋肉に多く分布しているようです。


タコやイカなどの軟体動物はタウリンを多く持っているそうです。ちなみに、スルメイカの表面に出る白い粉にはタウリンが凝縮されているとか。栄養ドリンクもいいですが、スルメイカもいいみたいですね。


さて、タウリンと言えば栄養ドリンクです。あの強烈なキャッチフレーズを耳にすれば、一本飲み干すごとにみるみる力が湧いてきそうな気がしませんか?


日本では合成品は医薬品扱いで、主に医薬部外品のドリンク剤の主成分になっています。有名どころと言えば、何と言ってもファイト一発の「リポビタンD」(大正製薬)。ほかにも第一三共ヘルスケアの「Regain」、大鵬薬品工業の「チオビタドリンク」などがあります。今回写真で登場したのはエスエス製薬の「エスカップ」です。(うさぎちゃんのマークがかわいいですね〜)


ちなみに、天然抽出物(イカやタコから抽出したのかしら?)は食品添加物として認められているそうで、強化物として育児用粉ミルクにも添加されているとウィキペディアにありました。お〜、知りませんでした。赤ちゃんもファイト一発の力がありそうですな。ほかにも、目の新陳代謝を促進する働きがあるので目薬の成分として使用されることもあるそうです。まさに、目から鱗的な情報です。


さ〜、レポートも終盤です。ウィキベディアには「タウリンの代謝」という項目に下のような記述がありました。全文コピーして転載します。


………………………………………………………………
合成経路においてはまず、タンパク質の構成成分にもなる含硫アミノ酸であるシステインからシステイン・ジオキゲナーゼによりシステイン酸が合成される。タウリンはシステインスルフィン酸デカルボキシラーゼ(スルフィノアラニン・デカルボキシラーゼ)によりこのシステイン酸から合成される。ヒトはこの合成経路の両酵素をもつため、タンパク質を摂取していれば、タウリンの形での積極的摂取は不要である。胆汁酸と縮合したタウロコール酸はコリル・コエンザイムAとタウリンから合成される。タウリンは尿中に一日約200mgが排泄される。
………………………………………………………………


人は合成に必要な酵素を持っているので、タンパク質さえ摂取していれば体内で作り出せるようですね。しかも、タウリンの形での積極的な摂取は不要とあります。う〜ん、ここ重要ですね。この一文は、解釈の仕方によっては製薬会社への宣戦布告とも受け取られそうです。さらにだめ押し的な文章が文末で光っています。「タウリンは尿中に一日約200ミリグラムが排泄される」。これって過剰なものが捨てられるってことでしょうか? 余っているのに1000ミリグラムを摂取したらどうなるのでしょう。合計1200ミリグラム排泄されるということ?
(栄養ドリンクを飲んだ後におしっこの色が変わるのと関係あるのかしら)


肉体的な機能には個人差があるので、この数字がそのまま当てはまるとは思いませんけど、いかがなものでしょう。気分だけでもファイトが出るようなら飲んだ効果もあるというものです。全面的な否定はできないと思います。私も時々、心の中で「ファイト一発」と呟きながら飲んだりしています。不思議なもので、「効くんだ」「効くはずだ」と念じながら口にすると元気が湧いてくるような気がします。それだけでも十分有効かと思います。これってプラセボ効果(プレシーボ効果)っていうやつでしょうか…


きっと私はこれからも栄養ドリンクをときどき飲むことでしょう。でも、今回の一件で「必要ない」という情報が頭に入ってしまった以上、今までのようなプラセボ効果は期待できないかも。世の中には「知らない方が良かった」という情報もあるのかもしれませんね〜


そうそう、ウィキペディアだけの情報ではいけないと思い、ほかのサイトの情報にも目を通してみました。検索に引っかかったのは、ほとんどが健康増進アドバイスやサプリメント販売のサイトでした。そのどれもが、健康維持や増進のためにはタウリン摂取がとても有効だと説いていました。なかには継続的な摂取が望ましいと迫るものもありました。確かに、健康状態によっては摂った方がいいという人もいるのかもしれません。でも、「体内でこんな働きをしている」とだけ説明して「さぁ、飲んだ方がいいですよ」と迫るのも…


ちなみに、どのサイトも「一日約20ミリグラムが尿と一緒に排泄されている」とは書いていませんでした。



そう言えば、今回のタイトルにある猫の話がまだでした。


ウィキペディアによれば…猫はタウリンを合成する酵素を持っていないので、彼らにとっては重要な栄養素なんだそうです。なので、キャットフードにはタウリンの含有量を明記したものが多いとか。猫はタウリンが欠乏すると拡張型心筋症が生じることがあるようです。たまにはイカやタコを齧らせるのもいいのかもしれませんね。あるいは栄養ドリンクを飲ませてファイトを奮い起こさせても…

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さまよう神経伝達物質と悩むシナプス

前回からのつづきで、抗コリン作用について。
その前に脳神経の細胞同士をつないでいるシナプスのお話を…


高校の生物の教科書の解説図に、樹状に広がった円盤から紐のような軸が伸びている奇妙な生きものが描かれていたのを見た記憶はないでしょうか。


それが脳細胞で、いくつもの脳細胞同士をつないでいるのがシナプスだと教えられたような気がします。そこにはトイレ掃除の吸盤みたいなシナプスと、それに向き合う受け皿状のシナプスの拡大図が示されていました。


この両者の間では神経伝達物質のやり取りがあると教科書に書いてあったような気がします。伝達物質にはセロトニン、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン(ドパミン)、βエンドルフィン、アセチルコリンといったカッコいい名前がつけられていました。ちなみに、解説図では両者の間に大胆な隙間が空いていましたけど、実際はほとんど密着しているような状態だそうです。


シナプスには前細胞と後細胞があるそうです。トイレの吸盤みたいなのが前細胞で、受け皿みたいな方が後細胞にあたります。神経伝達物質は前細胞から放出され、受容体(レセプター)のある後細胞に向かいます。刺激の種類に応じて放出される伝達物質が決まっていて、受容体もそれぞれの物質に対応したものが各種配置されているようです。セロトニンにはセロトニン受容体、アドレナリンにはアドレナリン受容体といった具合です。


放出後、シナプスの間隙に残ってしまった伝達物質は前細胞が再取り込みをするか、特定の酵素によって不活性化(あるいは分解)されるとのこと。刺激が永続的にならないように工夫されているようです。再取り込みをしてまた使うなんて、とてもエコな仕組みです。ひょっとして、作り出すのに相当なエネルギーを消費する物質なのでしょうか?

さあ、話を前回のお薬・パモ酸ヒドロキシジンに戻しましょう。


子どもの蕁麻疹の薬として処方されたこのパモ酸ヒドロキシジン。抗ヒスタミンという薬効だけでなく、抗うつ薬としての効果もあると前回報告しました。


さて、抗うつ薬の実体はどんなものかというと…神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンなどの再取り込みを阻害することによって、うつ症状を軽減するというもの。この二つの神経伝達物質は、うつ症状に深く関わっているといわれています。


極端な表現をすると、冷静(抑制的)な覚醒に作用するのがセロトニン、高揚的な覚醒に作用するのがノルアドレナリンです。この二種の均衡がとれた状態が理想です。つまり、通常の脳は両者の量が一定に保たれた状態を作り出しているわけです。この均衡が保てない、あるいは欠乏してしまうとうつ状態に陥りやすくなるようです。


ヒドロキシジンは、セロトニンの再取り込みを阻害する薬だそうです。取り込み口であるセロトニントランスポーターを塞いで、セロトニン濃度を高いまま維持させます。そんな薬効を持つ薬をSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)と呼ぶそうです。日本語で言うと選択的セロトニン再取り込み阻害薬。なんとなくカッコいいですね〜


ところがいいことづくめではありません。アセチルコリンが受容体(正確にいうと、ムスカリン受容体とニコチン受容体に大別されるらしい)に結合するのを阻害してしまうそうです。アセチルコリンによって制御されている組織にはよからぬ影響が出てしまうそうです。結果として現れるのが、薬の説明文にあった以下の症状になるわけです。


眠気、倦怠感、口が渇く、気持ちが悪い、食欲がない、胃の不快感、頭痛、めまい、便秘など。このほか、緑内障患者は眼圧が上昇したり、前立腺肥大症の人は尿が出にくくなったりするとのことです。

話が長くなってしまいました。つまり、「抗コリン作用」とは抗うつ剤の副作用のひとつ、アセチルコリン受容体への結合阻害という事です。



前回からの続きで長々と薬の話を書きましたが、まったくの素人ですから間違った記述があるかもしれません。ですので、書いてある事はご自身で一度検証していただくことをおすすめします。


話は変わります。


今回に限らず、学術的なことにちょっと足を踏み入れた記述をすると、いつも感じてしまう事があります。専門的な知識は何も持っていないのに、あたかも知っているかのように書いてしまうこと。これには気が引けます。なので、「○○だそうだ」とか「○○らしい」などという曖昧な文末が多発することになります。


よ〜く考えてみると、自分が発見した事なんてほとんどありません。すべて専門科の先生たちが人生をかけて解明した答だけをかき集めただけ。自分が発見した事なんて、クワガタやカブトムシがどんなとこにいるかってことぐらい。ほかにもいくつかありますが、同程度のレベルです。


つくづく情報って価値のあるものだと感じます。たちどころに情報が手に入るインターネットは特に便利だなぁと思います。

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アレルギーと鬱の関係/薬から探る脳の生理

薬は病気を治してくれない
治すのは自分自身の力
薬は手伝いをしてくれるだけなのだ
なければ、体が自分でなんとかする
かもしれない…


妄想めいた事を思う自分。
どちらかというと医者嫌い、薬嫌いです。
たまに栄養ドリンクをジュース代わりに飲んだりはしますけど、飲み薬はもう何年も飲んでいません。

こんな偏った考えを持つ自分とまったく対局の位置に立つのが妻です。子どもに何か異変があるとすぐに医者に連れて行き、もらってきた薬を飲ませます(それで安心している)。私は歓迎しないのですが、意見すると喧嘩になるので黙っています。

薬に頼ってばかりいると肉体が持っている本来の機能を弱めるような気がしてなりません。もちろん、「こりゃイカン!」「様子が変だ!」「我慢の限界を超えている」と思ったときには医者に連れて行きます。でも、発熱してだるそうにしているくらいなら十分に睡眠を取らせて、翌朝の回復具合で判断したいと思います。こんな考えを持つ私を妻は「変人!」と言い、白い目で見ます(あの目で凝視されると、自分が人間じゃないような気になってくるのがとても悲しいです)。

極端な事を言わせてもらいます。今のお年寄りは薬漬けになっていますけど、子どもたちも薬漬けになりそうな傾向があるのではないでしょうか。

前置きが長くなりました。

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先日、首の周りと耳の後に蕁麻疹ができた子どもが薬をもらってきました。それがこれ。アタラックスPという薬です。説明書きにはこうあります。

………………………………………………………
湿疹や皮膚炎を伴うかゆみやじんましんの症状を改善したり、不安や緊張を和らげる薬です。アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの働きを抑制してアレルギー症状を軽減し、また、中枢に作用して神経症を改善します

眠気、体がだるい、口が渇く、気持ちが悪い、食欲がない、胃の不快感、頭痛、めまい等が現れる事があります。
………………………………………………………


気になる一節があります。「不安や緊張を和らげる薬です」とはいったいどういうことでしょう。アレルギーの薬効とは関係ないような気がします。さらに、「中枢に作用して神経症を改善します」とは? 辻褄が合っているような、ちぐはぐなような、妙に説得力がありますけど、よく読むとキツネにつままれたような気分になる文章です。(個人的には新造語として「タヌキに耳打ちされた」と表現したい)

下段の文章に至っては悪いことづくめ。とても役に立つ薬とは思えぬ症例が列挙されています。よ〜く考えれば、「薬は怖いものなんだ」ということを暗にほのめかしているような気がしなくもありません。勘ぐれば切りがありませんが、もしものときの責任回避ともとれます。「承知の上で服用すること」という念書みたいなものでしょうか?


結論から言いますと、この薬は抗うつ剤としても効果があるようです。製造元はファイザー社(抗うつ剤としては塩酸ヒドロキシジンという成分が効力を発揮するようです)。

今回、子どもがもらってきたのはパモ酸ヒドロキシジンという成分が含まれています。薬に関する詳しい事はわかりませんが、塩酸の部分がパモ酸に置き換わった薬のようです。化学物質は組成の一部が別のものに置き換わるとまったく違う活性を示すものがありますが、ヒドロキシジンは皮膚科領域・神経科領域の両方に効果を発揮するみたいです。ちょっと難しく言うと、皮膚科の領域では「抗ヒスタミン薬」、神経科の領域では「抗うつ薬」という二つの顔を持っているということでしょうか。抗ヒスタミン薬としては開発時期がかなり古い「第一世代抗ヒスタミン薬」に分類されています(そのため、価格の安いジェネリック医薬品になっていると思います)。

ひとまず、かゆみという視点でこの薬を見てみました。

かゆみやアレルギーと言うと必ず出てくるのがヒスタミンという言葉。ヒスタミンと言うとかゆみの原因物質という先入観を持つ自分ですが、詳しい事はあまりよく知りません。


ヒスタミンは私たちの体の中でも合成される物質であると同時に食物からも摂取しています(体の中では必須アミノ酸のヒスチジリンから合成されます)。人間の体の中にはいろいろな細胞がありますが肥満細胞や好塩基球、ECL細胞などが産生するとのこと。なかでも肥満細胞内には高濃度で存在しているそうです。普段は細胞中の顆粒に貯蔵されているらしいのですが、細胞表面の抗体に抗原(アレルギーの原因物質)が結合すると細胞外に放出されます。

ヒスタミンは痛みやかゆみを感じる知覚神経を刺激します。その刺激が脳に伝えられ、さらに神経終末に伝えられ神経ペプチドと呼ばれる神経伝達物質を放出させる事になります。この神経ペプチドは肥満細胞を刺激してヒスタミンの放出を促します。こうなると、まるで「かゆみのエンドレスサイクル」のような様相ですね。素人としては、いったいどこでかゆみが止まるんだろうと心配になります。でも、確かに「掻きだすと止まらない」という悪魔の連鎖の原理がよ〜くわかります。

抗ヒスタミン薬ということは、このヒスタミンの分泌を抑制することなのでしょう。細胞上にあるヒスタミンの受容体はH1〜H4までの4つがあるそうです。そのうちのH1がかゆみと関係のある受容体で、皮膚や粘膜、気道平滑筋などに存在するとのことです。このH1受容体にヒスタミンがくっつかないようにする拮抗薬のひとつがアタラックスP(パモ酸ヒドロキシジン)というわけです。

かゆみやアレルギーに対する薬効を持つパモ酸ヒドロキシジンですが、ご多分に漏れず副作用がついてきます。それが、薬の説明文の引用にある下段の症状です。改めて記すと…

眠気、体がだるい、口が渇く、気持ちが悪い、食欲がない、胃の不快感、頭痛、めまいなど。

これらは、パモ酸ヒドロキシジンが持つ「抗コリン作用」というもののようです。さて、抗コリンとは何でしょう? コリンと言えばアセチルコリン。きっと頭(脳)の中で起きている生理現象に違いありません。

あまりにも長く書き過ぎたので、つづきは次回にしたいと思います。

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